教授挨拶

弘前大学医学部附属病院に高度救命救急センターが開設されてから2021年で10年が経過しました。当センターは、緊急被ばく医療にも対応できる施設を目指し、遠藤正彦元弘前大学長が設置に尽力され、2010年に浅利靖教授(救急・災害医学講座)を初代センター長として発足しました。以来、院内各診療科からたくさんの応援を戴き、青森県の救急医療の最後の砦として少しずつ診療実績を重ねて参りました。2015年4月からは山村仁教授(救急・災害医学講座)が、そして2019年1月からは私がセンター長の任に就いております。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行は青森県も例外ではなく、2020年以降、多数の患者さんが発生しています。これに対して当センターは、今までの災害医療の経験をもとに、保健所や他の医療機関と協力して地域医療体制の維持に取り組んで参りました。また、診療の面では残念ながら重症化されたCOVID-19患者さんを積極的に受け入れており、病院のバックアップも戴きながら人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO)を用いた集中治療を行っております。これらの対応は、発足以来、当センターが培ってきた知見や経験があればこそであり、歴代のセンター長はじめ、スタッフの皆様のこれまでのご尽力に心から感謝致します。

現在、青森県の多くの医療機関では、各臓器別の専門医が持ち回りなどで救急外来を担当していると考えられます。医療が細分化した今日、診療科横断的に患者さんを評価して緊急度を見極め、必要に応じて蘇生処置を行える救急科専門医の育成は青森県においても急務です。2021年現在、青森県で常勤の救急科専門医が救急外来診療しているのは、青森県立中央病院、八戸市立市民病院、弘前市の健生病院と当院だけです。これをいずれは県内の中核病院全てに広げていきたいと考えております。2021年現在、当院の救急科専門研修プログラムは、2名が研修中で、1名が修了してサブスペシャリティの研修中です。また、私の赴任後、数名の救急科専門医が当センターの仲間に加わってくれました。少しずつですが、理想の体制に向けて前進しています。救急は医の原点と言われる通り、決して特別なものではなく、基本的かつ診療科横断的な診察の積み重ねです。青森県で医師となる医学生や研修医の皆さんにはぜひ救急科を進路の一つに考えてほしいと思います。また、すでに各診療科の専門医として活躍されながら救急の経験を積みたいと考えておられる先生方や、他の地域で経験を積まれ、ふるさと青森県に戻ろうと考えておられる先生方からのご相談もお待ちしております。一緒に地域住民のさらなる安全、安心につながる救急医療を築いていきましょう。